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地震などの災害に強い! 従来のイメージを覆す防災瓦
「屋根の重量が嵩む瓦屋根は地震に弱い…」、阪神・淡路大震災以降、瓦が落下し、倒壊した家屋の映像が繰り返し、流され続けたため、そういったイメージが刷り込まれてしまいました。特に熊本・大分地震では熊本城の瓦が落下していく様子が映像で流されたため、そういった思いを強くした方も多いでしょう。
また近年では大型の台風が発生することも多く、重い瓦が飛散・落下したら…と不安に思う方も増えているようです。
確かに屋根の重量が嵩んでしまう瓦屋根は自然災害に対して不利なことを否めませんが、現在ではそれを克服した防災瓦があるのです。
また近年では大型の台風が発生することも多く、重い瓦が飛散・落下したら…と不安に思う方も増えているようです。
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【動画で確認「災害に強い!防災瓦」】
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。動画で見たいという方はこちらをご覧ください!
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動画で見たいという方は是非ご覧ください!
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瓦屋根は何枚もの瓦が並べられて屋根を構成しています。これらの瓦は棟などの特定の部位以外、瓦桟という木に引っ掛けているだけで固定されていません。他の部分は綺麗に並べられているだけなのです。またそれよりも以前の施工方法になると「土葺き」と呼ばれ、敷き詰められた土に瓦を押し付けるように固定されているだけのこともあります。
昔は、地震時などにはあえて瓦を落とし、家そのものの倒壊を防ぐという目的もあったそうです。しかしその考え方は住宅密集地も多い今の時代にはそぐわず、地震、強風、台風などでも飛散や脱落することのない屋根材が求められますね。
そこで生まれたのが防災瓦です。防災瓦は瓦同士が噛み合うようなロック構造になっており、ずれたり、外れたりしにくくなっています。また、瓦1枚1枚を釘やビスで固定するため、飛散や落下も起こりにくいのです。
通常の瓦の場合
防災瓦の場合
これまでの瓦と違い、1枚1枚が屋根にしっかりと固定される防災瓦は強風にも、地震にも強いと言えるでしょう。瓦屋根であっても被災しにくいのが防災瓦の屋根なのです。
日本は周りを海に囲まれているため、ほとんどの地域で季節風の影響を受けます。各地で基準風速が決まっており、その地域の屋根はこの基準風速に耐えることが求められるので、それを実現するためにさまざまな施工方法が存在します。
防災瓦は従来のものとは違い、瓦1枚1枚を釘やビスで留め、瓦同士で噛み合わせてロックしているので非常に強固に固定されています。2018年や2019年に日本に上陸した大型台風では、瓦屋根にかかわらず多くの建物、屋根の被害が報告されました。台風の通り道となった各地で40m/sを超える風速が観測され、最大風速は約55m/sと言われています。
しかし日本の多くの地域での基準風速が30~38m/sなのに対し、防災瓦なら最大瞬間風速であればその1.5~1.8倍まで耐えることができるとされています。しっかり1枚1枚固定された防災瓦なら、ある程度の強風でも飛散や倒壊などの大きな被害は防げるでしょう。
地震の際の縦揺れと横揺れを再現する三次元振動台にて耐震性能試験を実施した結果、震度7クラスの地震でも脱落や破損などは見られませんでした。これまで日本を襲ってきた数々の大地震にも耐えられるということです。
大地震後にテレビで放送されるような「瓦が落下するシーン」とは無縁の屋根材なのです。
瓦同士が噛み合うようなロック構造と1枚1枚を釘やビスで固定する防災瓦は大地震にも強く、地震国日本であっても安心して過ごせます。
防災瓦はさまざまな瓦メーカーから発売されており、軽さに拘っている製品も数多く存在します。建物の造りが同じなら、やはり屋根は軽い方が地震時に揺れにくいからです。一般的な瓦の重さは瓦のみで1㎡あたり約43kgです。それに対して防災瓦は1割程度軽く約39kg程度となります(製品によっても差はあり)。さほど軽くなっていない印象を受けますがお家1軒分、約100㎡(30坪)の屋根なら約400kg、現在最も軽い防災瓦(34kg/㎡)で約900kgも軽くなります。およそ軽自動車1台分くらい軽量化することになり、耐震性能に貢献できるのです。
ほとんどの屋根材が瓦よりも軽く、故に耐震性能も高いのですが、瓦屋根に拘る方も多くいらっしゃいます。そういった方は地震や台風などのリスクを考えて、防災瓦を使ってほしいというのが街の屋根やさんの願いです。
防災瓦の製品と事例をご紹介
マルスギ株式会社「イーグルエクサ」
瓦としてシェアの高い信頼の三州瓦である「イーグルエクサ」。平板瓦で勾配が緩い屋根でも高い防水性能を発揮します。
<施工事例>
近年増える地震へのご不安から、土葺きの屋根を軽くしたいとのご要望をいただきました。金属屋根やスレートでの葺き替えもご案内いたしましたが、やはり瓦がお好みとのことで防災瓦にて葺き替えを行うことになりました。
同じ瓦でも、土を撤去し瓦桟を設置する乾式工法にする事で屋根の軽量化が図れます。
色は重厚感のある「銀富士」をお選びいただき、赤い瓦からの葺き替えでしたが、お住まい全体が引き締まった印象になりました。漆喰の傷みもあり瓦のずれや雨漏りの心配がありましたが葺き替えで一新し安心です。
新東株式会社「セラムFフラット」
凹凸のないシンプルな形状でグッドデザイン賞受賞。和風から洋風までさまざまな建物にマッチします。
<施工事例>
築30年以上が経った瓦屋根の葺き替えです。強い雨の際に雨漏りが起こるということで、瓦そのものに割れなどはありませんでしたが、下地の防水紙が傷んでいました。瓦よりも防水紙が寿命を迎えてしまうのは珍しいケースではありません。
この機会に外壁もカバー工法(重ね張り)にてリフォームし、お住まいの外観が新築のように生まれ変わりました。
株式会社鶴弥「スーパートライ110 サンレイ」
M形デザインの「サンレイ」はカラーバリエーションも豊富で洋風の建物にもよく合います。何より、通常の瓦より20%ほど軽量化を実現しているため屋根の負担を軽くできるのが魅力です。
<施工事例>
雨漏りでお困りのお客様からお問い合わせをいただき、古くなったセメント瓦屋根を葺き替えです。
瓦をはがしてみると破れた防水紙や傷んだ野地板が確認でき、防水機能がほとんど期待できない状態でした。もともとが隙間の多い「バラ板」だったため、野地板を補強することで建物の揺れにも強くなります。
防災瓦と一般的な瓦、どの程度の価格差があるのでしょうか。瓦単体の材料費で見ますとほとんど差がないというのが実状です。これまでの一般的な瓦よりも研究費や開発費はかなりかかっているでしょうが、基本的に原料は同じですし、製造工程が大きく変わるわけでありませんので、そのコストはほぼ同じです。
実際の工事では一般的な瓦の場合、釘やビスによる固定は必要ありませんが、防災瓦ではそれが必要となってきます。それだけ手間が増えるのですが、釘やビスによる固定はスレートや金属といった他の屋根材でも行われていることであり、特殊なことではありません。そういった施工の手間分、工事費は少しだけ高くなりますが、安全と安心を比べたら安いものです。
瓦による屋根葺き替えをお考えの方はぜひ、防災瓦をお選びください。デザインも和瓦のJ形、平らな洋瓦のF形、M字形の洋瓦のM形、南欧の雰囲気漂うS形と各種ラインナップされています。
葺き替え工事費用の例
・雨漏りをきっかけに防災瓦スーパートライ110タイプIへ葺き替え:150万円
築年数 約43年 建坪 19坪 工事費用 150万円
雨漏りのため点検のお問合せをいただき伺ってみると、セメント瓦の重なりに溜まったホコリなどが雨を吸い上げていることが分かりました。瓦を剥がしてみると、裏側には釘穴から浸入した雨によるシミがはっきりと残っていました。また築年数が長いこともあり防水紙にも雨漏り跡や破れが見られましたので、葺き替えをご案内いたしました。
防災瓦の唯一の弱点は割れた時のメンテナンス性だが・・・
一般的な瓦の場合、飛来物などで割れたり、欠けたりしても固定されていないので、すぐに交換することができました。また、その下の防水紙なども瓦を外すことによって容易に点検と確認を行えました。防災瓦は釘やビスで固定されている他、噛み合わせでもロックされています。一般的な瓦のように交換するといったことはできないのです。
ただ、一般的な瓦のようにずれることはほぼないため、そのことを含めればメンテナンス性も差がないと言えるかもしれません。ずれたり、落下したり、脱落したりすることのない防災瓦はメンテナンスの手間が極めて少ない屋根材ということもできます。
瓦屋根は地震に弱いの嘘と本当
瓦屋根専門店のサイトを見ると、よく「屋根の重さと地震時の揺れや耐震性は関係ありません」と掲載されています。それに対し、「屋根は軽い方が地震の揺れにも強く、耐震性も高い」と言っているサイトも多数あります。街の屋根やさんも「屋根は軽い方が地震に強い」という立場をとっています。これ、どちらが本当なのでしょうか。
耐震性には柱や耐力壁などの構造が大きく関係します
瓦屋根に限らず、重量が嵩む屋根は地震に弱いというのはある意味、本当です。しかし、地震時の揺れや耐震性は屋根の重さだけでは決まらず、お住まいの構造や地盤の強固さといった他の部分も大きいのです。建物の屋根 が重い場合、それを支える柱や耐力壁も強固なものが求められます。または支えるための柱や耐力壁を増やす必要があります。
簡単に言いますと、同じ造りでも屋根が軽ければ、地震時の揺れに耐える構造として使える部分が多くなります。
逆に、同じ造りでも屋根が重ければ、普段の時も地震時にも屋根を支える構造として使われる部分が多くなり、揺れに耐える構造として使える部分が少なくなるのです。
地盤ではなく、建物だけに限るなら、屋根の重さというよりもその下の造りに関係する部分が大きいのです。1981年以前の旧耐震基準では「震度5程度の地震で倒壊しないこと」が基準でしたが、新耐震基準では「震度6強から7に達する大規模地震で倒壊・崩壊しないこと」に改められました。
新耐震基準以降に建築された建物は瓦の重量も計算に入れた構造をしています。そのため瓦屋根や屋根の重量が重いからといって決して地震に弱いということはないのです。
実際の防災瓦の施工事例
一般的な瓦から防災瓦での屋根葺き替え
約築40年というお客様より「そろそろ屋根を新しくしたい」とご相談を承りました。何でも「築年数を考えて、そろそろ屋根を軽量化したい」ということです。点検したところ、瓦の下に葺土を用いて安定させる土葺き工法で葺かれた屋根でした。この葺き土を撤去し、から葺き(桟葺き)工法に変更すれば、瓦屋根でも総重量を3分の2から2分の1程度にまで減らすことができます。今回はそれに加えて防災瓦を使用し、災害に強い屋根へと変更します。
点検時の様子
棟瓦が落下しないようにとの配慮からかラバーロック工法がされていました。棟瓦の瓦と瓦の隙間が全てシーリング材で埋め尽くされています。これだと瓦の内部に入った雨水が排出できず、雨漏りへと繋がります。現在、雨漏りしているそうで、瓦のしたの葺き土も湿っているところがありました。
葺き土の撤去と野地板の増し張り
瓦を安定させる土台として用いられていた葺き土を撤去し、古い防水紙も剥がしてしまいます。古い家屋では1枚ものの野地板ではなく、バラ板と呼ばれる幅10㎝~20㎝程度の板が張られています。この上に構造用合板を増し張りし、屋根の強度も高めます。
防水紙の敷設
野地板の増し張りを終えましたら、防水紙と桟木を取り付けていきます。新しい防災瓦はこの桟木に釘で固定しますので、動いたり、落下することがありません。それが終わりましたら、実際に瓦を配置し、いよいよ防災瓦を葺いていきます。
防災瓦への葺き替え
軒から棟へと向かって防災瓦を葺いていきます。今回、使用したのは防災瓦は和瓦のJ形ではなく、洋瓦のM形です。銀黒の色のせいもあるのでしょうが、これまでの屋根と較べても違和感を感じません。最後に棟の部分を仕上げれば、防災瓦への屋根葺き替えの工事終了です。
竣工
何と防災瓦への葺き替え工事終了と同時に雨が降り始めました。ここ数日、不安定な天気でしたが、雨が降ることなく施工できたのは普段の行いがよいからでしょうか。これで雨漏りとは無縁、しかも屋根も軽くなり、強風や地震にも強い屋根になりました。防災瓦は一般的な瓦と同じく耐用年数も長いので、末永く安心してお過ごしできると思います。
新築の瓦固定義務化とは?
2022年より、新築建物においては屋根の全ての瓦を固定することが義務化されました。国土交通省の調べで、2019年の房総半島台風では固定されていない瓦屋根の脱落が全体の31%に上ったのに比べ、固定された瓦屋根の脱落被害は7%に留まりました。
※国土交通省HP:令和元年房総半島台風を踏まえた建築物の強風対策の方向性より
こうしたことを受け、瓦固定の義務化は大型台風などが相次ぐ中で屋根瓦飛散の被害を防ぐために施行されたものです。
※国土交通省HP:「令和4年1月1日から瓦屋根の緊結方法が強化されます」より
リフォームでもぜひ防災瓦をご検討ください
全ての瓦固定が義務化されたのは新築についてのみですが、既にお住まいの住宅屋根でも同じことがいえるのは言うまでもありません。雨漏りした屋根をリフォームしたい、瓦の持つ重厚感にこだわりがある、ということであれば、ぜひ防災瓦をご検討ください。
自然災害が猛威をふるう昨今、屋根の防災性能を高めることは、大切なお住まいと資産、ご家族を守るためにも重要です。
雨漏りしている、瓦が割れてしまったなどのお困りごとはもちろん、築年数が経った屋根のリフォームを考えているという場合にも、ご希望やご要望をお伺いし最適な工事方法、屋根材などをご提案いたします。
防災瓦への葺き替えをご検討の際も、街の屋根やさんまでご相談ください。
地震などの災害に強い! 従来のイメージを覆す防災瓦のまとめ
●固定されているから強風でも飛散しない! 地震の時も落下することがない! そのお家に住んでいる方にもお隣の方々にも安全・安心の瓦屋根
●軽さに拘っているものも多いので耐震性能も高い
●一般的な瓦も防災瓦も価格は変わらず、工事費も少し高くなるだけなので瓦屋根に拘る方には絶対にお薦め
●ずれたりすることがほぼないのでメンテナンス費も最低限に抑えられる
●地震や台風などの自然災害が心配な昨今、お住まいを守るために防災瓦をご検討ください