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屋根の専門家が教える、金属屋根(ガルバリウム)のメンテナンス方法とご自身で点検できるチェックポイント
特に、金属屋根として主流となっているガルバリウム鋼板についてを中心に、メンテナンス時期や修理のチェックポイントについて詳しく解説しています。
金属屋根(ガルバリウム)とは?
金属屋根(ガルバリウム)は、近年住宅屋根として高いシェア率を獲得しています。
矢野経済研究所の調査によると、2021年度の国内屋根材市場(販売数量ベース)における金属屋根材のシェア率は63.2%に達し、ガルバリウム鋼板を含む金属屋根材が主流となってきています。
ガルバリウム鋼板は、1972年にアメリカのベスレヘム・スチール社で開発された金属素材です。それまでの主流だったトタン鋼板に比べ、飛躍的に耐食性が向上し、軽量で加工しやすいことから、瞬く間に世界中に普及しました。
日本でも、1980年代に入ると住宅用屋根材として普及し始めました。
金属屋根といえば以前はトタンでしたが、ガルバリウム鋼板の性能向上と価格低下により、トタンよりもガルバリウム鋼板が使われるケースが増えています。現在、新築や屋根リフォームなどで「金属屋根」といえばほぼガルバリウム鋼板製の屋根のことを指しているといって良いでしょう。
ガルバリウム鋼板は、鉄鋼板にアルミニウム、亜鉛、シリコンの合金メッキを施した鋼板です。亜鉛とアルミニウムの二重メッキにより、錆びにくく、耐久性に優れています。特に、海岸部などの塩害環境にも適しています。
ガルバリウム鋼板屋根のメリット
- 軽量・耐候性:軽量で錆びにくいため、地震や台風などの災害に強い
- 耐久性:耐用年数が20~30年超と長く、メンテナンスコストを抑えられる
- 防水性:特に縦葺き(立平葺き)だと水はけがよく雨漏りに強い
- 施工性:軽量で加工しやすいいため、施工が容易
ガルバリウム鋼板屋根のメンテナンス時期
ガルバリウム鋼板の耐用年数は20~30年超と言われていますが、これは適切なメンテナンスをした場合です。
例えば、代表的なガルバリウム鋼板屋根材であるスーパーガルテクトは「塗膜保証15年」「赤錆保証20年」です。それよりも早い時期にメンテナンスを行うのが適切でしょう。
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金属屋根(ガルバリウム)には端と端の重なった部分を折り曲げて固定する(ハゼ)方法が取られていることがあります。経年でこの部分が緩んでくると、固定する力が弱まり、浮いてしまったり、剥がれてきてしまったりします。
浮いてしまった部分や剥がれてしまった部分は風の影響と抵抗が増えますので、より浮き上がりやすい状態になり、最終的にはめくれあがってしまう場合もあります。
金属屋根(ガルバリウム)が歪んで浮いている、めくれて風でバタバタとあおられている。このような状況が見られたら早めに点検・修理をご依頼ください。
金属屋根材(ガルバリウム)も表面は塗装されています。お住まいの外壁やスレート材と同じく、ここでも色褪せは塗装が弱ってきた状態です。放っておくと、その下の金属に悪影響を与えかねません。
また、強風時の飛来物、アンテナの倒壊によって金属屋根材の表面に傷がついてしまうこともあります。傷で塗膜(メッキ)が剥げてしまうと、基材の鋼板が剥き出しになった状態となります。剥き出しになった金属は非常にサビに弱いのです。サビは金属を脆くしますので、酷い場合には穴が開いて雨漏りの原因になります。
ガルバリウムはサビに強いと言われていますが、塗装やメッキが剥がれてしまえば早期のサビに繋がりますから、やはり傷や色褪せには気を配ってあげたいものです。
金属は塗料によってサビを防いでいるといっても過言ではありません。塗料の劣化は確実にサビによる腐食を招きます。
サビを放置すると、腐食が進み、穴が開きます。穴からは雨水が浸入していくので、雨漏りを起こします。
金属屋根のサビは2種類
金属屋根(ガルバリウム)に発生するサビには大きく分けて「白錆」と「赤錆」の2種類あります。
表面にポツポツと白く浮き出てくるのが「白錆」です。鉄自体が錆びてできたものではなく、メッキの亜鉛が酸化してできたものです。
白錆自体は、鉄を直接錆びさせることはありません。しかし放置するとメッキを侵食して赤錆の原因となります。
一方、赤茶色の錆は「赤錆」です。赤錆は鉄が酸素と反応してできる酸化物ですから、塗膜やメッキが機能しなくなってきている証拠です。大きくなる前に塗装メンテナンスをしてあげましょう。
瓦棒屋根や立平葺きの金属屋根(トタンやガルバリウム鋼板)の一部が錆び付いていたり、めくれてしまった場合、可能ならばその部分だけを交換します。
かかる金額は数万円~です。ただし多くの場合、棟板金の撤去が必要になるので新しく交換すればその費用もかかります。
経年劣化は全体に広がっていてもおかしくはありません。今後のことを考え部分修理ではなく、屋根カバー工法や屋根葺き替えをご提案させていただくこともあります。
金属屋根表面の塗装が色褪せ、撥水性能が落ちてきたら、塗り替え時です。軽度なサビの場合、しっかりとケレン(最適な塗装が行えるように下地を調整すること。ここではサビ落とし)した後に丁寧に塗装を行えば、ほぼ元通りになります。
ケレンをした後、汚れなどを高圧洗浄機で洗い流し、下塗り、中塗り、上塗りと最低3回の重ね塗りを行います。屋根の状態によってはサビ止め用塗料などを使い分けて、3回以上の重ね塗りをすることもあります。
最近は遮熱や防汚といった機能を持った塗料もございます。塗装で暑さを軽減できる時代になりました。
屋根を長持ちさせるには定期的な塗り替えが必要です。使用する塗料によって塗り替え時期は変わってきます。価格と性能(塗装の寿命)のバランスが取れたシリコン塗料がお勧めです。
金属屋根のサビや腐食が激しく、塗装では回復できない場合に行う屋根リフォームです。屋根で屋根をカバーします。つまり、これまでの屋根の上に新しい屋根を被せる工事です。
これまでの屋根を解体しませんので、廃材がほとんど出ません。工期が短く、解体費や廃材費処理費も抑えられますので費用もオトクになります。
ただし、屋根が二重になるので、重量は増します。金属屋根の場合、やはり軽い金属(ガルバリウム)での屋根カバーがお勧めです。
屋根が二重になるので、屋根カバー工法には断熱性が増すというメリットもあります。
表面の屋根材だけでなく、その下の防水紙や下地(野地板)まで劣化が進んでしまった場合、全面的な屋根の改修をします。それが屋根の葺き替え工事です。
屋根材の下には防水紙が敷かれているため、少々のことでは雨漏りしません。よって、雨漏りを発見した時は、既に防水紙と下地がボロボロだったということも少なくないのです。
これまでの金属屋根材の解体費、廃材処理費、新しい屋根材の材料費、そして工事費が掛かるので、高額です。大規模な屋根リフォームなので、工期も長くなります。
金属屋根Q&A
金属屋根にはどんな種類がありますか?
トタンやガルバリウム鋼板のほか、SGLやジンカリウム鋼板などがあります。
トタンが多く使われていた金属屋根はガルバリウム鋼板が主流になりました。
さらに、エスジーエル鋼板(SGL鋼板)は、ガルバリウム鋼板と比較してさらに高い耐食性を持つ鋼板です。メッキにマグネシウムを添加することにより、エスジーエル鋼板は特に塩害や酸性雨などの厳しい環境下でも優れた耐久性を発揮します。
またガルバリウム鋼板とほぼ同じメッキ組成のジンカリウム鋼板は、表面に石粒を吹き付けた屋根材として使われることが多い金属素材です。
金属屋根は夏に暑くなると聞いたのですが
断熱材の併用をご検討ください。
ガルバリウム鋼板などの金属屋根材に基本的に断熱性能はありません。
しかし、断熱材一体型の金属屋根材(「スーパーガルテクト」「横暖ルーフ」等)なら安心です。それ以外の金属屋根材でも下地に断熱材を挟み込むことが可能です。断熱材を挟めば、気になる雨音も軽減されます。
また、屋根カバー工法の場合は屋根が二重になるので、断熱や遮音の効果が期待できます。
これから金属屋根(ガルバリウム)にリフォームしようとお考えの方、現在金属屋根でメンテナンスにお困りの方、街の屋根やさんまでお問合せください。
金属屋根(ガルバリウム)は今後さらにシェアが拡大することが予想されます。
現在の屋根のお困りごと、これからのご希望などをお伺いし、ベストなメンテナンス、屋根リフォームをご案内いたします。
まずは無料点検をご活用ください。
金属屋根(ガルバリウム)のメンテナンス方法まとめ
●金属屋根は近年シェアを伸ばしています
●以前は金属屋根といえばトタンでしたが、ガルバリウム鋼板が使われることが主流となりました
●ガルバリウム鋼板とは、アルミニウム、亜鉛、シリコンの合金メッキを施した鋼板です。トタンより飛躍的に錆びにくくなりました
●ガルバリウム鋼板屋根材の耐用年数は20~30年程度ですが、10~15年ほどでメンテナンスを検討しましょう
●金属屋根材の浮きや剥がれ、色褪せ、サビや傷が見られたらメンテナンスの時期です
●金属屋根の修理・メンテナンス方法には、部分交換、塗装、屋根カバー工法、屋根葺き替えがあります