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古くなったトタン屋根に最適なメンテナンスは 塗装か屋根カバー工法か葺き替えか
安くて丈夫、施工もしやすいということから普及がはじまったトタン屋根。ガルバリウムが主流になってきたこともありお住まいを新築する際には使われることも少なくなった建材ですが、今でもトタンが使われているという建物や倉庫は意外と目にしますよね。現在のトタン屋根はそのほとんどが大分、古くなってきています。色褪せや錆び、剥がれなどは修理が必要となった顕著なサインと言えます。古くなってきたからこそ、メンテナンスが必要な状態なのですが、どのような修理方法が最適なのでしょうか。屋根塗装、屋根カバー工法、屋根葺き替えと代表的なメンテナンス方法をそれぞれ見ていきましょう。
塗装? 屋根カバー工法?葺き替え?
貴方のトタン屋根の最適なメンテナンス方法をご紹介
トタン屋根の外見と特徴
トタン屋根というと誰もが金属の平らや波板状の建材を使用している屋根のことを思い浮かべると思います。ご自分のお家がトタン屋根という方もおられるでしょう。
トタンは鋼板を亜鉛でめっきしたもので、そのめっきのおかけで普通の鋼板よりも錆びづらいという特徴があります。100年以上の歴史を持つトタン屋根ですが現在、流通・存在しているものは大きく分けると4種類です。
瓦棒葺きトタン屋根
45cm程度の間隔で傾斜方向(縦)に木製の桟を設けて、そこにトタン板を敷いていく屋根です。桟にもトタンを被せます。この縦方向の桟のことを瓦棒と呼ぶので瓦棒屋根と呼ばれています。
水が染み込まない金属を使用している上に棟から軒先まで一枚の金属で屋根を覆うので雨仕舞いに優れており雨漏りにも強いと言われています。そのため緩い勾配(一寸勾配・約5.9°)にも施工することが可能です。
立平葺き(縦ハゼ葺き)トタン屋根
桟を使わず、葺いた金属屋根のことで、屋根材の端が逆V字型に折り曲げられています。逆V字型の部分はハゼと呼ばれ、このハゼ部分を重ね合わせて葺いていきます。木製の桟を使わないので瓦棒葺きよりも防水性に優れており、0.5寸勾配(約5.9°)の屋根にも施工可能です。
新しい屋根材と工法のため、トタンが用いられていることは少なくほとんどがガルバリウム鋼板です。
波板トタン屋根(大波・小波)
その名の通り波型に加工されたトタン波板を屋根材として使用したもの。1波の大きさが76.2mmで波の高さが18mmの大波(波板1号)と1波の大きさが31.8mmで波の高さが9mmの小波(波板2号)があるが、なぜか大波はほとんど見かけません。
薄い鋼板の強度不足を補うためにアーチ(波)型に加工されています。
折板トタン屋根
亜鉛めっき鋼板を折り曲げて、台形が規則正しく連なっているように加工したものが折板屋根です。
工場や倉庫、体育館などの大きな建物の屋根に使われることが多い屋根材で、金属なので水が染みることがなく、勾配がない屋根にも使用できます。
こちらもトタン波板と同じく、薄い鋼板の強度不足を補うために台形に加工されています。
トタンとガルバリウムを見分けることはほぼ不可能
現在、金属屋根材として流通している製品はアルミ・亜鉛めっき鋼板であるガルバリウム鋼板が主流となっています。これらを見分けるのはまず不可能です。
お家の屋根がトタンだと思ったらガルバリウムだった、ガルバリウムだと思ったらトタンだったということもあります。ガルバリウム鋼板が日本で発売されるのは1982年ですから、それ以前のものはトタンということになります。
トタン屋根のメリットは安くて軽い、耐用年数もそれなりに長いこと
トタン屋根が広く用いられるようになったのは安価なのに、耐用年数も長い(それまでの屋根材に比較した場合)ことにありました。1973年には20年保証のトタン建材も登場しています。
また、軽いということは建物の構造を簡素にすることができますから、屋根だけじゃなく、その下の建物も安価にすることができたのです。
トタン屋根のデメリット1 現在の屋根材が進化したため、その優位性が失われてしまったこと
トタンは現在でも流通していますが、新しく性能も高い金属屋根材が次々と登場したのでそれらに較べてしまうとその優位性はなくなってしまいました。
現在の価格は相変わらず安価ではあるのものの、ガルバリウム鋼板とほぼ同じ価格です。重量もガルバリウム鋼板とほぼ変わりません。トタンの3倍以上の耐久性があり、ほぼ同じ重さのガルバリウムが同じ価格で変えるならトタンを選ぶ必要はないのです。
かつては圧倒的な耐用年数を誇ったトタンですが、現在の金属屋根材の進化にはやはり勝てません。
トタン屋根のデメリット2 夏、暑い
チタン以外の金属屋根材はいずれも熱伝導率が高く、非常に温まりやすいのですが、ガルバリウム鋼板やSGLでは予め遮熱塗料で塗装された製品が存在します。メンテナンスでトタン屋根を塗装する際に遮熱塗料を使用すればこの差異は埋められるでしょう。
ガルバリウム鋼板やSGLの成型金属屋根材では予め屋根材の下に断熱材を備えたものも存在します。トタン屋根の場合は遮熱機能を持った防水紙を使うことで暑さ対策をすることも可能です。
トタン屋根のデメリット3 雨音がうるさい
ガルバリウム鋼板やSGLの成型金属屋根材では屋根材の下の断熱材が遮音材にもなっており、雨音が響きません。
トタンの場合はそういったものがありませんので、遮音性能を持ったシートを屋根の下に引くことによって解決できます。
トタン屋根のデメリット4 錆に弱い
ガルバリウム鋼板やそれを上回る性能を持つSGLが登場した現在、結果的にトタンはそれらと比較して錆に弱い金属屋根材となってしまいました。ガルバリウムやSGLと比べて、価格が大きく違うなら、比較対象にはならないのですが、前述のようにほとんど変わらないのです。初期コストは変わらないもののトタン屋根の場合、ガルバリウムやSGLに比べて錆びやすいので、屋根塗装などのメンテナンス費もより掛かることになります。他の金属屋根同様、水切れが悪い緩勾配の屋根が多いことも錆びやすさに拍車をかけています。
トタン屋根も他の金属屋根やスレート屋根と同じように屋根塗装で定期的なメンテナンスを行い、傷み具合に応じて屋根カバー工法や屋根葺き替えを検討します。それでは屋根塗装、屋根カバー工法、屋根葺き替え、それぞれのメンテナンス方法を見ていきましょう。
屋根塗装
トタン屋根が比較的健全で、錆が軽度の場合に行います。「錆で穴が開いている」、「錆で部分的に崩れている」場合、塗装は不可能です。それは塗装の目的が素材と美観を守るために行われることであり、穴あきや金属の腐食を直すものではないからなんですね。
屋根の鋼板は0.4mm程度しかありません。表面的な錆に見えても、実は裏側まで貫通していることも多いのです。塗装してもすぐに穴が拡がったり、他の部分に錆穴ができてしまえば、すぐに雨漏りします。錆が重度の場合は屋根カバー工法か屋根葺き替えをお薦めします。
トタン屋根は錆が出始めてきたから塗装するのではなく、その前に塗り替えしてしまうのが長持ちさせるコツです。錆が発生してなくても下塗りには錆止め塗料を使いましょう。
またデメリット部分でも触れましたが、トタンは熱を吸収し、温度が上がりやすいという特徴があります。当然屋根の温度があがれば室内の温度にも影響を及ぼしますよね。快適に過ごすために断熱や遮熱について考えてみることも大切になります。
屋根カバー工法
これまでのトタン屋根の上に新しい金属屋根材を被せてカバーする工法です。これまでのトタン屋根の上に防水紙を敷いてから、新しい金属屋根材を被せます。
防水紙には遮熱機能を持ったものありますし、遮音性を持ったシートを挟みこむことも可能です。被せる金属屋根材はトタンではなく、価格はほぼ同じで耐久性が高いガルバリウム鋼板を選びましょう。
屋根葺き替え
これまでのトタン屋根を剥がし、新しい金属屋根材に葺き替える方法です。建物の構造や設計にもよるのですが、軽い金属屋根材を使うことを前提に設計されていることが多いので、自由に屋根材は選べません。選択肢は金属屋根材となります。
建物の構造にもよりますが、瓦棒屋根をより防水性の高い立平葺きに変更することも可能です。
部分的な葺き替えももちろん可能ですが、屋根の傷み具合によっては葺き替えなかった部分に穴が開くなんてこともありえます。穴が開いてなくても、同様に傷みが進行しているものとして全体的な葺き替えをお考えください。
部分的な葺き替えももちろん可能ですが、屋根の傷み具合によっては葺き替えなかった部分に穴が開くなんてこともありえます。穴が開いてなくても、同様に傷みが進行しているものとして全体的な葺き替えをお考えください。
傷ができている・凹んだり、変形している
トタン屋根の鋼板の厚さは0.4mm程度です。かなり薄いので、強風などで飛来物などがあると簡単に凹んでしまいますし、変形もします。塗膜が傷つくと、そこから錆が発生します。見える範囲だけでも定期的な点検と強風後の点検をしてあげましょう。
傷がついている場合は塗装で保護、変形が酷い場合はその部分を張替え
錆が発生している
トタンは亜鉛めっきが先に錆びることによって、本体の鋼板の錆を防いでいます。亜鉛めっきは錆びた分だけ、消費されます。消費された亜鉛めっきは回復はしませんし、塗装などで補充することも不可能です。サビが出てきたら、拡がらないうちに保護してあげなければなりません。錆を落としてから、錆止めを塗布し、その上から塗装してあげなければなりません。
錆をケレンでしっかりと落とし、錆止めを塗布してから塗装
穴が開いている
穴が開いているのが一部であるならば、部分的に交換(張替え)することも可能です。穴が複数、開いている場合は屋根カバー工法か屋根葺き替えを行いましょう。屋根カバー工法や屋根葺き替えをするのであれば、値段はほぼ一緒なのにトタンよりも錆に強いガルバリウム鋼板をお薦めします。
数ミリ程度の穴でしたら、錆を除去し、シーリングなどで塞ぐことも可能ですが、
基本的には屋根カバー工法や屋根葺き替えをお薦めします。
今後、他の部分も同様に錆で穴が開いていく可能性があるからです。
ここまで状況に応じた軽微な補修から塗装や葺き替えといった比較的大きなリフォームまでトタン屋根のメンテナンス方法について見てきました。ここではそれぞれの内容に応じた街の屋根やさんでの修理、メンテナンス費用の目安について見てきましょう。
お住まいの不具合状況や被害状況はもちろん千差万別ですので、詳しいお見積りは現地調査を行った上でご提出させていただいておりますが、トタン屋根を修理、リフォームする際の金額の目安になさってください。
トタン屋根の修理はDIYでもできる?
例えば強風によってトタン屋根が剥がれてしまった、突然の雨漏りで困っているなど屋根の不具合は突発的に発生するケースも多くあります。
お客様側の立場に立つとこれまで異常もなくお住まいを守ってくれていた屋根が突如として「剥がれてしまった」「雨漏りが始まってしまった」となると、今すぐ自分で何とかしようという心理状態になるという方も多いのではないでしょうか。
では屋根のDIY修理は可能なのでしょうか?
DIY修理の範囲は地上からご自身の手の届く範囲までが原則です
屋根の不具合から生じる雨漏りや不便さを考えたときに、多少危険でもやってしまおうと考えてしまう方も実際多いようです。しかし慣れない作業を慣れない作業環境の中で行うことは実に危険と言わざるを得ません。
例えば記憶にも新しい2019年千葉に上陸した台風15号ですが被害家屋をDIYにて修理しようとした3名が死亡、少なくとも150名以上が重軽傷を負ったという発表が消防庁からなされました。
例えば記憶にも新しい2019年千葉に上陸した台風15号ですが被害家屋をDIYにて修理しようとした3名が死亡、少なくとも150名以上が重軽傷を負ったという発表が消防庁からなされました。
私たち屋根工事業者が順守するべき労働安全衛生規則第518条には、高さ2m以上の場所で作業を行う場合、作業者の堕落等による怪我や危険を避けるための措置を講じなければならないと定められているのです。実は私たち専門業者であっても屋根の上では万全の対策で作業を行っているのです。
なおさら作業にも屋根の上という環境にも慣れていない方の高所作業は危険と言わざるを得ませんよね。インターネットで調べると「DIYでできる屋根修理」といった記事も散見します。まるでDIYすることが簡単で当たり前であるかのような記事をリフォーム業者自身が公開しているケースもあり、目を疑いたくなります。当然ですが屋根の上でスマホを見ながら作業するわけにもいきませんから、簡単なことでも当たり前のことでもないのです。
万が一不安がある場合はご自身で修理を検討するのではなく、一刻も早く最寄りの屋根工事業者に連絡するようにしましょう。
万が一不安がある場合はご自身で修理を検討するのではなく、一刻も早く最寄りの屋根工事業者に連絡するようにしましょう。
雨漏りの応急処置はDIYでどこまでやるべき?
室内にまでポタポタと落ちてくる雨水のしずく。お住まいだけではなく、室内の家具や家電にまで影響を与えてしまいます。一刻も早く解決したいと誰もが思いますよね。
まずは屋根や雨漏り業者に連絡して点検、修理を行ってもらうということが大前提ですが、被害を最小限に食い止めるための応急処置であればDIYでも行うことができます。
●バケツ等で雨水を受け止め床を濡らさないようにする
●窓枠付近からの雨漏りの場合はその付近に雑巾やペットシーツを敷く
●ブレーカーのチェックや念のため雨漏りしている部屋のフロアの電気は消しておく
●窓枠付近からの雨漏りの場合はその付近に雑巾やペットシーツを敷く
●ブレーカーのチェックや念のため雨漏りしている部屋のフロアの電気は消しておく
こうした室内でできる応急処置を行い、屋根の上は業者にお任せするようにしてください。
火災保険を使った屋根修理
屋根修理、メンテナンスには経年によって発生した劣化を改善する工事と自然災害などによって突発的に発生した不具合を改善する工事がありますね。
経年劣化を回復させるメンテナンスについては火災保険を使うことはできませんが、自然災害によって発生した不具合の原状回復工事については火災保険を適用し、自己負担なく修理を行うことができるケースがあります。
経年劣化を回復させるメンテナンスについては火災保険を使うことはできませんが、自然災害によって発生した不具合の原状回復工事については火災保険を適用し、自己負担なく修理を行うことができるケースがあります。
例えば、
●強風で煽られた飛来物によって屋根が傷ついた
●台風の影響でトタン屋根が捲れてしまった
●前回の台風の時から雨漏りが発生して止まらない
●強風で煽られた飛来物によって屋根が傷ついた
●台風の影響でトタン屋根が捲れてしまった
●前回の台風の時から雨漏りが発生して止まらない
こうしたケースでは自然災害が原因であることが考えられるため火災保険の申請を行い、保険金によって修理を行うことができるケースがあります。ほとんどのお客様が新築時に火災保険に加入されていると思います。風や雪、雹、雷といった自然災害が原因だと思われる場合は是非火災保険の利用をご検討してみましょう。
築年数別、トタン屋根のメンテナンスサイクル
7~10年 屋根塗装
錆びてからよりも、錆びる前に塗装してあげた方が寿命を延ばせます。色褪せしてきたら、塗装を検討して下さい。錆を発見したら、すぐに対応してあげましょう。錆を放置すればするほど、耐用年数と寿命は短くなっていきます。
10~15年 屋根塗装、または屋根カバー工法か屋根葺き替え
これまで1回も屋根塗装していないという方は塗装できる最後のチャンスかもしれません。
また、まだ1回もメンテナンスをしていないという方は屋根カバーや屋根葺き替えを検討した方がいいかもしれまん。ある程度、錆が進行してしまうと塗装しても想定している年数まで持たないかもしれないからです。
また、まだ1回もメンテナンスをしていないという方は屋根カバーや屋根葺き替えを検討した方がいいかもしれまん。ある程度、錆が進行してしまうと塗装しても想定している年数まで持たないかもしれないからです。
15~20年 屋根カバーか屋根葺き替え
トタン屋根のメンテナンスは屋根カバー工法か屋根葺き替えになります。環境や立地に恵まれており、なおかつしっかりとメンテナンスしてきた場合、屋根塗装が可能なこともあります。
20年~ 屋根カバー工法か屋根葺き替え
塗装できる状態だったとしても、長くは持たないと考えられるので、屋根カバー工法か屋根葺き替えをお薦めします。屋根カバー工法か屋根葺き替えを行う場合、トタンとほぼ同価格で耐用年数がより長いガルバリウム鋼板をお薦めします。
「ウチのトタン屋根は結構、年数が経過しているけど、最適なメンテナンスはどれなのかしら?」、「トタン屋根に錆が出ているけど、塗装はできるりかしら?」、トタン屋根のことについて様々な疑問は街の屋根やさんにご相談ください。
無料で点検し、状況と状態にあわせて最適なメンテナンス方法をご提案いたします。
無料で点検し、状況と状態にあわせて最適なメンテナンス方法をご提案いたします。
トタン屋根の現状
●築数十年が経過した建物多数、傷み次第では塗装ではなく屋根カバー工法や屋根葺き替えを
日本でガルバリウム鋼板が登場したのは1982年ですが、その普及期は1990年以降であるようです。その頃、社会問題となっていた酸性雨に対し、トタン屋根よりも強いガルバリウム鋼板の屋根が求められたからでした。
1990年頃に建てられた建物であっても、すでに25年以上が経過しております。環境や立地にもよりますが、一般的にトタンの寿命は15~20年程度だといわれています。
1990年頃に建てられた建物であっても、すでに25年以上が経過しております。環境や立地にもよりますが、一般的にトタンの寿命は15~20年程度だといわれています。
現在ではトタン屋根という建物は既に何回かの屋根塗装をしているでしょう。
錆もないし、傷みもないという場合でも、今後のことを考えたら屋根カバー工法か屋根葺き替えを選択した方が安心して生活できると思います。
トタン屋根は夏暑い、雨音がうるさいという問題を抱えています。前述のように解決方法はあるのですが、こちらにお金をかけるのだったら最新の屋根材にした方がいいでしょう。
錆もないし、傷みもないという場合でも、今後のことを考えたら屋根カバー工法か屋根葺き替えを選択した方が安心して生活できると思います。
トタン屋根は夏暑い、雨音がうるさいという問題を抱えています。前述のように解決方法はあるのですが、こちらにお金をかけるのだったら最新の屋根材にした方がいいでしょう。
トタン屋根の実際の施工例
トタン屋根の塗装
前回の屋根塗装から15年、錆びだしたトタン屋根をルーフマイルドSiでリフレッシュ
使用材料:ルーフマイルドSi
「屋根が錆びてきたのでそろそろ塗装を」ということでホームページをご覧になったT様からご相談をいただきました。お話をお聞きしましたところ、前回の屋根塗装から15年くらい経過しているそうです。さらにお話をお聞きしますと、その前の塗装によるメンテナンスは新築後十数年後くらいで行ったそうですから、25年は経過していることになります。屋根塗装でメンテナンスできる状態なのでしょうか。
点検時の様子
思った通り、錆が出ている状態ですが、築25年以上、前回の塗装から15年のトタン屋根としてはかなり状態はいいのではないでしょうか。ガルバリウム鋼板は1990年代から普及し始めたと言われていますが、それは企業などの酸性雨対策のためであって、一般的な住宅に普及していくのはその後だったと考えられます。目視では判断がつかないのですが、お客様もトタンと言っていたので、こちらの屋根はおそらくトタンだと思います。
全体的に塗膜が薄くなっている印象を受けます。屋根の他の面を見てみますと部分的に塗装されているところが何箇所も見受けられます。錆を拡げないためにお客様自信が行ったそうです。いい判断だったと思います。しっかりと錆の拡がりを抑えてくれた結果、現在のような状態になっているのでしょう。
屋根塗装
高圧洗浄をした結果、さらに屋根の色が薄くなりました。なお、高圧洗浄は錆びた部分を水流で崩してしまう可能性があるので、水圧を変えながらいつもより丁寧に行いました。ケレンで錆を落としたら、まずは錆止めを塗布していきます。
錆止めを塗布が終わったら、中塗りの工程です。お打ち合わせの段階では遮熱塗料も選択肢の一つでしたが、近いうちに屋根カバー工法か尾根葺き替えを検討するということなので、普通のシリコン塗料での塗り替えです。普通の塗料でも白を選択したら、どこまで涼しくなるかということを試してみたいということで、この色を選択なさりました。
最終工程の上塗りの様子です。あれだけ錆びていたトタン屋根が新品同様に蘇りました。築25年以上のトタン屋根には見えません。遮熱塗料ではないものの、この色を選択したので涼しくお過ごしいただけると思います。
竣工 トタン屋根の塗り替え
環境と立地、お客様のDIYによって錆が拡がることを防ぎ、まだまだ現役で頑張れるようになったトタン屋根です。この仕上りを見た感じだと、さらに長く使用できそうです。
トタン屋根の屋根カバー工法
錆で腐食した瓦棒のトタン屋根を屋根カバー工法で新しい屋根へ
使用材料:カバールーフ455
他の業者が内装工事を行っていたところ、雨漏りを確認したそうです。以前も雨漏りの補修を行っており、家屋も古くなってきたことから「今度、雨漏りしたら本格的に直そう」と決めていたそうで、街の屋根やさんにご相談をいただきました。屋根葺き替えか屋根カバー工法かということでお悩みになったそうですが、どうしても工期を短くしたいということでいうことで屋根カバー工法をお選びになられました。
点検時の様子
屋根の錆もそうですが、まずアンテナが倒れていたことに驚きました。地上波のアンテナと衛星放送のアンテナが倒れています。2種類のアンテナをつけているということはテレビをよくご覧なられると思うですが、支障はないのでしょうか。
以前、雨漏りしていた時に雨水が浸入していたであろう箇所を発見しました。シーリングで穴が塞がれていました。その下は破風となるのですが、ボロボロです。
屋根カバー工法
まずは足場の仮設です。住宅密集地なのですが、足場を仮設するスペースに問題はありませんでした。それよりも問題だったのは資材の搬入です。屋根が片流れでしかも長尺の屋根材なので屋根の上に上げるスペースがありません。
そこで投入したのがクレーンです。これならば、スペースを気にせず、しかもスピーディに建築資材を屋根の上に運べます。もちろん、道路の使用許可を事前に届け出ています。
瓦棒屋根ということで、屋根材を取り付ける芯木をこれまでの屋根に取り付けていきます。こうして見てみると、結構な大きさがある屋根であることが割ります。芯木を取り付けたら、屋根カバー工法に使う屋根材を被せ、収まり具合をチェックします。
防水紙を敷いています。防水紙を強いたら、屋根材をその上に置いていきます。これで、一気に葺いていく用意ができました。
カバールーフ455を所定の位置におき、固定しています。長尺の屋根材なので、重くはないのですが、運ぶ時は二人がかりです。決められた間隔で釘を打ち、その上から雨水が入らないようシーリングで固定していきます。
竣工 トタン屋根の屋根カバー工法
清掃と片付けをし、スタッフによる点検も終えたところです。これでトタン屋の屋根カバー工法が竣工しました。破風もその部分を交換しました。これで雨漏りを心配することなく、生活を送ることができるでしょう。
屋根葺き替え(張替え)
雨漏りしていたトタン屋根を葺き替えて雨の日でも快適に!
使用材料:ガルバリウム鋼板
「ちょっと強い雨が降ると毎回のように雨漏りがする」、今回のお施主様であるI様から街の屋根やさんにご相談がありました。雨漏りしている箇所は1箇所だけだったので、I様も大事にはならないとお考えになっていたのですが点検の結果、複数のところから雨水が浸入していることが分かりました。I様は「この先、何十年と住み続けるだろうから」と屋根葺き替えを決心しました。
点検時の様子
トタン屋根ということで、屋根が錆びて穴が開き、そこから雨水が入っているのは想像できたのですが、部分的に葺きかえられていることに驚きました。棟板金の色が違うのはともかくその両脇の鋼板の色が違います。完全に新たに葺きかえられた部分です。さらに驚くべきは芯木を包んでいる桟の板金です。棟から軒まで色が同じです。棟の両脇を葺き替えたときに古いものを再利用したのでしょう。せめて新しいものにしておけば、雨漏りは発生しなかったかもしれません。それにしても器用に葺き替えたものです。
芯木を包んでいるトタンの腐食が顕著です。ここから雨水が入り込んでいるのは間違いないでしょう。小屋裏はというと、さまざまなところの木材が湿っています。このまま放置していたらこちらも工事が必要になるでしょう。
屋根葺き替え
まずはトタン屋根を解体していきます。棟板金を取り外し、桟の部分の板金も外すと芯木はボロボロでした。この腐食の進行だと強風に耐えられず、屋根材が剥がされていた可能性もあります。
かなり古い建物らしく、防水紙がパネル状のものでした。瓦屋根では防水紙の代わりに杉の木の皮でできたものなどを見かけることはありますが、パネル状のものを見るのは初めてです。防水紙もその下の野地板もボロボロです。その防水紙にも穴が開き、その野地板にも穴が開いていました。この野地板、板と呼んでいいんでしょうか。昭和のチャンネルをガチャガチャと回すタイプのテレビやオーディオ機器の裏面を覆っていた木というか、木の繊維をプレスして固めた素材です。
ちょっと頼りない木の繊維をプレスして固めた素材の上に構造用合板を全面に増し貼りしていきます。これで屋根の強度も大分、上がることでしょう。増し貼りが終わりましたら、防水紙を敷いていきます。見た目だけでも、これまでのものよりも性能がアップしたことが分かると思います。
防水紙を全体に敷きましたら、軒先に水切り金具を取り付け、板金を固定する桟を取り付けていきます。ちなみにこの桟のことを瓦棒と呼ぶので、瓦棒屋根と呼ばれるのです。
桟の間に屋根材となるガルバリウム鋼板を取り付けていきます。桟と桟の間隔は45cm間隔です。桟にもガルバリウム鋼板でできたコの字型の板金を被せていきます。ちょうど、蓋をするように重なるので雨水が入らないようになっているのです。
最後に棟板金を取り付けたら、トタン屋根の葺き替えは完成です。葺き替えに使われたガルバリウム鋼板は耐久性がトタンの3~6倍あると言われています。錆にも強くなった屋根で安心してお過ごしください。
竣工 トタン屋根のガルバリウム鋼板による葺き替え
部分的に葺きかえられたトタン屋根で、なおかつ桟の部分の板金を再利用。解体してみれば、正方形の防水紙に木材の樹脂を固めた合板… それらがすべて現在、標準とされている仕様に変わり、屋根材もガルバリウム鋼板に変わりましたので、屋根も長持ちするでしょう。雨漏りとは無縁の日々をお過ごしください。
トタン屋根のメンテナンスのまとめ
●トタン屋根には瓦棒葺き、立平葺き、波板があります
●外見からトタンとガルバリウムを見分けることはほぼ不可能です
●かつてトタン屋根はコストと耐用年数に優れた屋根材でしたが、現在では他の金属屋根材が進歩したために優位性は薄れました
●トタン屋根のメンテナンスは塗装か屋根カバー工法、屋根葺き替えになります
●部分的な葺き替え(張り替え)も可能ですが、傷みが進行していることもあるので全体的な葺き替えが理想です
●現在、トタン屋根の建物はメンテナンスが必要な場合がほとんどです
●屋根の不具合状況、被害状況は千差万別であるため詳しいお見積りは現地調査を実施した上でご提出させていただいております
●DIYでの修理はご自身の安全のためにも地上から手が届く範囲を原則とし、高所での作業が必要な場合は専門業者に依頼しましょう
●雨漏りの応急処置や被害を最小限に食い止めるためバケツで雨水を受け止める、窓サッシから浸入を防ぐために雑巾やペットシーツで雨水を吸う、ブレーカーの確認などに留め、修理は専門業者に依頼しましょう
●自然災害によるトタン屋根の被害は火災保険の適用も検討しましょう